2012/03/20

金澤玉響 照波春景 浅野川


全国的に天候の優れなかった2010年の春、
金澤の桜も満開を迎えた直後から何日も激しい風雨に曝され・・・・
これはその約10日後、やっと浅野川の水も綺麗になった日。
(川の水は雨が上がってしばらく経たないと綺麗にならないのです)
連日連夜の激しい雨風は、タップリと花を付けた桜の枝を揺らし続け
大分花は散ってしまったけど、それでもまだ夢のような穏やかな景色。
(逆にかなりの悪条件の中、よくこれだけ花が残っていたモノ。
ここには写っていないけど、川縁は綺麗な桜の花弁の絨毯が出現している
その場に佇んでいる人達にはモチロン、こうやって「桜の下で佇む人達の風景」
を眺めているコチラも充分に心地良い。
浅野川の優しく穏やかな「さざ波」がキラめく様子
そして遥か昔から人々の心を癒し続けている水音(微かに聴こえます)も
お聴き下さい。
(タイトルは、この辺りも舞台になった泉鏡花「照葉狂言」に掛けて)
曲はこの流れをず〜っと眺めて、その印象を表現したピアノ曲「Ripple」
アルバムvesperに収録) 2010年4月18日撮影

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2012/03/07

千杵坂 晩秋

晩秋の低い太陽が苔むした千杵坂の表面を舐めるように照らしている。
緩やかな傾斜の階段坂は泉鏡花の小説に「身を起こして、坂また少し攀じ石段三十五段にして・・」とある、当時のままの35段。
藩政期の終わりごろ、此処ら辺一帯を民衆の娯楽の場に整備する藩主の計画に喜び勇んだ民衆が手に手に杵を持って突き固めて出来たこの坂は(自主的に労働を買って出たそうだ)藩政期に整備された他の坂(例えば多くの寺社仏閣の山門に続く石段坂)などと違って大らかで柔らかい味わい。
緩やかな傾斜面にユッタリとした階段幅、段の高さも低く、上り傾斜が付いて(一つ一つの段が坂・・・というカンジ)全体的にアバウトなムードが漂うけど、そこは人々の生理によって決定された造りなのだろう・・・とても登りやすい。
坂を登り切ったトコロは日暮ヶ丘、三方が崩れてしまい随分狭くなったそうだけど、当時はたいそう繁盛した茶屋があって大いに賑わった場所。
今は東屋と梅林のあるちょっと眺めのよいささやかな台地でしかない・・・磨り減った石段を登りながら当時の往来を、その先にあった賑わう日暮ヶ丘を夢想するのはちょっと楽しい。
2011年11月26日14時29分撮影

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2012/03/04

千杵坂 落葉象嵌

金澤を代表する伝統工芸に蒔絵と象嵌がある。前者は漆器の表面に漆で絵を描いて金や銀粉を撒き定着させるモノ。後者は金、銀、鉄などの地金の表面に付けたい紋様のカタチを薄く(0.5〜1ミリ)彫ってそこに別の金属を嵌めこむ細工。
どちらも優美で艶やか、特に象嵌は高度に繊細な技術を要し、とても贅沢な金澤らしい工芸。
雨に濡れた千杵坂の表面にピタリ張り付くモミジは、蒔絵の様な、あるいは金銀銅、プラチナで象られ嵌めこまれた象嵌細工の様な・・・150年近く経つ苔むした石段が美しい工芸品の様に彩られている。
きっと藩政期に生きた職人さん達もこの様な光景を目に留めていたに違いない。
金澤の工芸がこの街特有の艶のある美に溢れた風景」からかなりの恩恵を受け続けているコトは容易に想像出来る。
雨による釉薬が頻繁にかかるこの地で自ずから育まれた感性が、大いにモノを言っていると思う。
漆器も象嵌も「雨の艶」を手本に発達した部分の多い工芸なのではないかな。
2011年12月12日14時26分撮影

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卯辰山三社 一の鳥居 千杵坂

卯辰山の中腹に設けられた花菖蒲園の脇に伸びる千杵坂。藩政期の終わり頃に着手された卯辰山開拓で、この先には劇場、料理店、茶店や病院、そして卯辰山三社が祀られ大いに賑わった。(その後間もなく廃藩置県とともに衰微)
この坂はその入口。(この上にまだ3つの階段坂がある)

冬の初めのしっとりした雨に落ち葉が濡れて、鮮やかに坂全体を彩る。
写真を撮る時にまず「おや?」と思うのは「鳥居の位置と坂のラインの不思議なずれ」いろいろ調べたのだけど、今のトコロ理由は不明。
自分は「この坂のカーブだとこれくらいズラした方が景色として収まりがいい」と判断した「大胆で繊細なセンスを持った棟梁が決定した」だとしたら洒落ていてイイなぁ・・・なんて勝手に想像している。
実際こうやって鳥居を真正面に見ると登った先の中心と額の位置がほぼ一致して、全体としてなかなかバランスがイイ。
金澤の此処彼処で昔の造形と対峙して、先人の思索をあれこれ空想するのは楽しい。
2011年12月04日12時39分撮影

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