2015/12/05

金沢城大手門 初冬の真昼

 雨が多い割には日照時間も少なくない(3月から11月までの合計日照時間は東京よりも長い。年間でも東京の90%)金澤は実は光の綺麗な街。特に冬の光は柔らかく透明で美しい。
 前日の雨が街全体をすっかり綺麗に洗い、まだ乾き切らないわずかな艶もそこかしこに残る中、真っ白く優しい真昼の光が拡散する様子は冬ならでは。南中を少し過ぎたあたり・・なのに早くも濃い影が伸び始めている。眩しく輝く太陽とクッキリ長い影が作る、冬の真昼のコントラスト。2015年12月02日 12時21分撮影
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2015/11/17

主計町茶屋街 旧暦9月14日

中秋の名月の次の十三夜(旧暦9月13日に昇る月、2015年は10月25日)を「後(のち)の月」と称して(栗などを添えるコトから「栗名月」ともいうらしい)お月見をする習慣があるんだそう(十三夜を愛でるのは日本特有らしい)空模様の変化に富む金澤では「月の膨らみ具合」と同じくらい「どんな雲が出ているか」もお月見を左右する重要な要素。この日は翌十四夜。「後の月」も見事だったけどこの夜は朧月画が空全体に広がる素晴らしいコンディション。気温も湿度も透明度も香りも、全てが絶妙な中での魔法の様な月の光景。2015年10月26日18時27分撮影
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金澤逆さ望遠鏡 嫁坂上 晩秋

 旧市街の真ん中を貫く小立野台地の両側に広がる、2つの川がそれぞれ削り出した複雑な地形が最も金澤らしい地域。嫁阪上から犀川方面に広がる街並み、さらにその向こう寺町台地、前田家代々が眠る野田山方面を臨む。
 遥か彼方まで見渡している様で、この地点から画面の一番奥に青く霞む山並みの1つ手前(「加賀藩主前田家墓所」とすると)までは実は4キロ弱しか離れていない(直線距離にしたら3キロちょっとくらいか)高低差がみせるマジック。近くを遠くにみせるので逆さ望遠鏡、とでも言おうか。旧市街ではほんの数分歩くだけで風景が空気がガラッと変わるコトがよくあるけど、それを一括りにしてみたカンジ。角度の低い晩秋の午後の光に柔らかく満たされた穏やかな眺め。2014年11月22日 15時20分撮影
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2015/08/08

見上げ月 大野庄用水 木倉町

 金沢旧市街に暮らしていると「視界がパッと開ける」のは2つの川に架かる橋の上、もしくは3つの台地(卯辰山山麓、小立野台地、寺町台地)から坂を降りる途中、時折り広がる空、くらいで普段は「半分くらいは人が作った前景」込みで空を眺めるコトになる。子供の頃は、例えば「草原上空にぽっかり浮かぶ月」の光景に憧れたコトもあったけど・・この街特有の「月の光景」はやはりとても魅力的。
 金澤でも指折りの「美味しいお店」が密集する木倉町のお仕舞を勢いよく流れる大野庄用水。右、明治7年(1874年)開業の老舗の八百屋さんと、左は創業半世紀ちょっと和菓子屋さん(金沢では‘まだまだ新しい’お店の部類に入る)の間を流れる天正年間(1571年〜1591年の間)に完成したと伝えらる用水上の「見上げ月」。2015年06月04日 02時15分撮影


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2015/08/04

ブルームーン逍遥 見上げ月 浅野川大橋

 2015年のブルームーンは暑い暑い夏の最中、昼間日差しをタップリ受けた草木が吐き出す濃い香りが夜を満たすコトは年中湿度の高い金沢ならでは。実は長所と言っていい。香りは無意識のウチに日常の記憶と深く結びついて人生をより豊かに彩る。
 毎日多くの人が通勤通学で(2つの茶屋街を繋ぐ橋でもあり観光客も沢山)通る浅野川大橋も丑三つ時を迎えさすがに人通りは少ない。
 ひがし茶屋街に何件かある「それぞれ個性的で味わいのあるBar」から家路にホテルに戻る人には‘今宵の月見’を意識せずとも自然に目に入る「何気なくも味わい深い光景」金澤の日常に溢れる美の不意打ち。2015年08月01日 02時25分撮影
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2015/08/02

ブルームーン逍遥 見上げ月 東山

 2015年7月31日はブルームーン。(諸説あるけど、ひと月に満月が二度あると二回目をそう呼ぶらしい)盛夏の夜の濃い香りにも誘われて‘金澤旧市街らしい’お月見を楽しんだ時の一コマ。右は「昔は氷で冷やす冷蔵庫があった」元酒屋さん(今は引退して和菓子屋さんに貸している)左は文化庁登録有形文化財、金沢市指定保存建物にも指定されている現役の古い(明治37年築)米穀店。古い家並みに挟まれた(切り取られた)狭い空に顔を出す朧月。
 現在(目の前に確かに存在するコト)と夢幻が入り交じった、いかにも金澤らしい光景・・この瞬間はどちらかと言えば月の方が現在かもしれないけど。2015年08月01日 02時11分撮影



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2015/07/19

金澤アヴァンギャルド 犀川大橋

 金澤のディテールには時々ハッとさせられる。さりげなく風景に溶け込んでいるので、毎日目にしているのに全然気づかないけど、よくよく観ると「ふ〜む・・なかなか攻めているなぁ」と感心する細部はアチコチに。
 例えばは犀川大橋が「五層」に塗り分けられているコトを認識している人は少ない・・よね? そして大橋正面にかかる「犀川大橋」の文字&縁取りがこんな大胆な配色であるコトに気付いている人はどれくらいいるだろう?
 今宵のお月様とお揃いの真ん丸い橋銘額照明も含め、この橋には他にも面白い細部がある。ぜひしばし佇んで、見つけて頂きたい。2014年09月09日 20時23分撮影
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見上げ朧月 犀川大橋

 意外(逆説的?)に思われるかもしれないけど金澤はとても月の鑑賞に適した街だと思う。
 複雑な地形は月の出から入りまで多彩な‘月の風景’を出現させ、変化に富んだ気候は(雨も多いけど雲間から月が覗く機会も多い)朧月が見られる機会が多いというコトでもあり。雨に洗われた真っ白い雲間から時折り覗く月を様々な前景に嵌め込み鑑賞するコトは金澤でのお月見の醍醐味、と言っていいだろう。
 夏が終わりに向い始める頃の宵、犀川大橋の枠組み越しに現れ隠れまた現れる月。まだまだ濃厚な夜の香りの中、もう一巡りあとの中秋の名月にボンヤリ思いを馳せながら。2014年09月07日 19時46分撮影
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鼓門夕景

  鼓門は完成当初の賛否両論期を経て、近年では世界からも大いに注目される様にもなり(アメリカの大手旅行雑誌Web版で、世界で最も美しい駅14選に選ばれたコトは記憶に新しい)撮影対象としても日々多くのカメラに収まっている。
 最も一般的なのは「少し離れた真正面」からの光景だろうけど、刻々と変わる‘金澤の光’との対比の中で「ディテールが魅せる美」もまたこの門らしい持ち味。
 徐々に暗さを増してくる春先の淡い曇天、もてなしドームとの対比も面白いアングル。見慣れているハズの対象から時折り‘不意打ち’される楽しみ。2015年03月23日 18時27分撮影
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2015/07/16

逢桜魔時

 ぼんぼり灯る浅野川大橋たもとを夜の帳と共に、妖しく艶のある桜の魔法が覆い始める頃。
 橋を渡って右に伸びる主計町茶屋街、こちら手前を右に曲がればひがし茶屋街。2つの茶屋街を繋ぐ川沿いの小径。これからお茶屋へ割烹へ繰り出す人、佇む人、お花見客、街の人々、辺り一帯全てが満開の夜桜の放つ柔らかなベールに包み込まれる。逢桜魔が時。
2015年04月11日 18時51分撮影

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艶桜 金沢城切手門脇

 兼六園に合わせて夜間ライトアップ無料開園する金沢城公園。ここは多くの花見客で賑わう二の丸内堀沿い桜並木の奥、切手門の内側にひっそりと咲く見事な枝ぶりの桜。若干動線から外れているコトもあって(後ろに建つ、明治31年築の旧陸軍第六旅団司令部で行き止まり。この桜もその頃植えられたのかな?)訪れる人は他に比べて少なく鑑賞には好都合。お花見の喧騒からちょっと離れてしばし一対一で向かい合ってると・・・何やら昔語りでも始めてくれそうな、老艶桜。2015年04月09日 20時58分撮影

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2015/07/08

朧月夜桜

 兼六園は桜が最も見頃な時期、大体10日間くらい夜間ライトアップ無料開放する(普通は逆?金澤人らしいおもてなしの表れだと思う)2015年は満開に満月も重なり(この宵は十六夜)絶好のコンディション。混雑を極める園内を避けて(新幹線開業後初の春でもあり)園外、観光客の動線からも外れた道路脇でしばしお月見&お花見。朧月が彼処に浮かんでなければ成立しない、この年このひとときだけの桜の光景。2015年04月04日 19時13分撮影
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2015/07/07

梅ノ橋鯉流し

 遥か昔に一度トピック書いたけど、あれからカメラの性能も随分良くなったのでもう一度。
 毎年5月の始め(大体2日から4日まで)浅野川梅ノ橋を舞台に地元小学校PTAの方々によってこの素敵な光景が出現する。毎晩美しくライトアップされている梅ノ橋、に吹き流しをズラズラっと並べただけで(とは言えなかなかの重労働。毎年ご苦労様です)もうそれだけで、出現する見事な光景。元々の風景の持つポテンシャルの高さ、との相乗効果。
2015年05月02日20時24分撮影
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2015/07/06

いもり光路

  左、金沢城公園の城壁、右はしいのき迎賓館。正面は兼六園。様々な生き物達の住処にもなっている旧市街中心部、生態系に配慮して極力照明は控えめになっている。
 以前にも取り上げている、いもり堀沿いに設えられた‘路面だけを照らす’照明。実際歩道に立つとこんな光景。ちょっと幻想的な光の路が暗闇に浮かび上がっている。柔らかくうねるその道筋は、昇ってきた月の明りを海原が反映している様にも見えなくは・・ない。そんな想像も楽しい5月の始めの金澤らしい朧月夜。2015年05月02日 19時42分撮影 

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主計町桜釉薬掛け

 金澤は昔から「雨の多い街」として知られてきた。実は4月から10月までは全ての月で東京よりも日照時間は長い(ここ30年の統計、ちなみに3月から11月までの総日照時間でも金澤の方が長い)ので、雨も多いけど「雨に濡れた街が輝く瞬間が多い街」でもある。
この日は春らしい薄曇りの雨模様。雨の釉薬がかかった茶屋街の石畳がボンボリに淡く浮かび上がる、いかにも金澤らしい光景。彼方に霞む卯辰山、水かさを増せど相変わらず優しい浅野川の水音、漂う春の香りの中の風雅な夕暮れ。2015年4月3日 18時17分撮影
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2015/02/28

金沢城石垣 桜囲み

 以前にも書いているけど、金澤での花見は廻りの風景との‘調和による美’を意識するとより味わい深い。ここは金沢城と兼六園を繋ぐ石川橋から真弓坂入口方面に向かって緩やかに降りていく蓮池門通りの中程。
 通り脇に斜面に、お堀通りを挟んで金沢城側にも二段に分かれて咲く桜、見事な石垣、その上「本丸園地の森」の木々たち・・・それらで構成される刻々と変化する光景を眺めつつそぞろ歩いて、よくこの場所に立ち止まる。
 絵師がその腕前を駆使して描いた様な枝ぶりの下から覗く陰影に富む石垣の造形、取り囲む‘遠く近くに’咲く桜、それらのバランスについつい見とれてしまう。絵画の中を彷徨っているかの様な花見、の一コマ。2014年4月11日17時55分撮影
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2015/02/17

桃源峡谷 木曽谷

 金沢のホントの魅力はスポットではなく‘複雑な地形’全体(と変化に富んだ気候)にある、と思う。(歩いて歩いて佇んで・・徐々に沁みてくる魅力。街全体をゆっくり庭園の様に散策して初めて分る魅力)
 金沢旧市街の中心を背骨の様にまっすぐ貫く小立野台地の両側に展開する複雑な地形の中でも、最も入り組んでいる‘木曽谷’と言われる地域。此処は画面手前にほぼ隣接している前田家菩提寺宝円寺(俵屋宗達のモノとされるお墓もある)脇から谷へ降りる名もない階段坂だけど、ここを通る人達に愛されている坂であろうことは容易に想像出来る、幸せな包まれ感がある場所。
 花のまま落ちた桜(多くはスズメが遊んで落としたモノだろう。突然桜が散り始めた・・と思って見上げるとスズメ達が桜の枝で遊んでいる・・というコトがよくある)に飾られた坂の途中で寛ぐ親子、春の始めの真ん中の幸せな夕方。桃源峡谷。2013年4月4日16時53分撮影
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2015/02/13

くわな湯桜 一輪挿し

 金澤旧市街には桜が多く植えられている。藩政期にお殿様がお城から桜霞を眺めようと寺町台地斜面に植えてみたり、日露戦争勝利記念にアチコチに植えたり 最近ではワシントンの桜を里帰り植樹もしたり(当初、米国への桜の贈呈には金沢出身の高峰譲吉博士も大いに尽力した)それぞれの時代に様々な思惑で植えられてきた桜がこの街の複雑な地形とも相俟って(気温差、日照差などの影響で)時期をズラしながら咲き誇る。
 樹齢100年を超える熟練役者達の見事な咲きっぷりにも惚れ惚れするが、こういうふうに若い桜がポッと咲いている光景も金澤らしい桜風姿。
 主計町茶屋街の細い細い裏路地を直角に曲がった瞬間に視界に飛び込んできた一本の若桜。一輪挿しに生けた花の様。2014年4月10日15時22分撮影
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2015/02/12

パーソナル・ナイト・ミュージアム 21世紀美術館

 21世紀美術館は毎晩22時まで交流ゾーン(外周部分)を無料で開放している。無料と言ってもそこは金澤、タレルの部屋(ブルー・プラネット・スカイ)で延々と佇むコトも(瞑想や読書にも最適)ヤン・ファーブルの「雲を測る男」を正面に、マイケル・リンのロッキング・チェアに揺られつつボンヤリ心地よい時間を過ごすコトも出来る。そして・・・そもそもプリツカー賞(建築界のノーベル賞とも言われる)建築家ユニットSANAA設計による館を逍遥するだけで其処彼処に・・・パーソナルな美景を見つけるコトが出来る。
 例えば外周部分でたまたま目の前に出現したこんな景色。闇をスーっと貫くレストランの反射光と、建物の直線曲線が織り成す調和の美しさに不意打ちされた。
 パーソナル・ナイト・ミュージアム。2015年1月7日18時51分撮影
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2015/01/26

ルバンの明り

 日中この辺りは旧市街の表通りを回避するクルマで遅くまで混雑する。打って変わって静寂に包まれた夜、「角のパン屋さん」(ルバン in おやま)の明りだけがフワッと闇に浮かんでいる。空には昇り始めた半月。光と闇の塩梅、微妙に三次元的に傾きのある地形も相俟って、優しい夜の小景。旧市街の夜のあちらこちらに時々、ほぼ偶然ポッと出現する「小さな美景」
 金澤では昼間歩き慣れた(クルマで通り慣れた)道にも、思いがけず発見がある、というか街の造りが自然と「そういう感性」に囁きかける、と言うべきか。
 画面奥(暗くて見えないけど)は尾崎神社(1643年に金沢城内に建立。現在の地には1878年から)通り左手には金沢市指定文化財「旧園邸」(1920年頃築)、金沢出身の谷口吉郎(東宮御所、帝国劇場、東京国立近代美術館などが代表作)設計による石川県繊維会館(現西町教育研修館、1952年築)なども並ぶ。密かに歴史もある通り。2015年1月14日午前2時30分撮影
※ル・ヴァン(Levain)とはフランス語で酵母。
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2015/01/19

金沢文芸館 冬のイルミネーション

日没から22時まで仄かにライトアップされる金沢文芸館(国登録有形文化財)は1929年築の元銀行。(市が改修し平成17年に文芸館として開設)
 大きく張り出した枝全体に雪溶けの雫をたわわに付けた街路樹が街灯の光を受けてキラキラ光る冬のイルミネーションの様。窓枠から漏れる優しい光の表情と相俟って印象的な夜の小景を作っている。あと数時間、ライトアップが終わってしばらくした頃には・・もうこんなふうには煌めいていないだろう。
 雪は降り積もって辺りを塗り替え、溶けて艶をかけ、そしてあっという間に無くなってしまう。絶えず移り変わる景色の刹那、冬のイルミネーション。2015年1月1日20時15分撮影



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2015/01/10

金澤美意識原器

金澤がなぜ独自の文化を持った街なのか。そしてそれを更に発展させ続けているのか
私は・・・起伏が多く複雑に入り組んだ街の構造、と変化に富んだ気候が見せる多彩でダイナミックな風景、
意識するしないに関わらずそれらに毎日接しているコトに根本の原因があると思う。
旧市街の日常の細部、一瞬に宿る美、趣きに接し続けるコトで育まれていくこの街ならではの美意識。
いわば「金澤美意識原器」。
食、工芸、芸能、芸術、文学・・・全てに影響を与えてきた「金澤感覚基準」金澤らしさの根本。
このBlogでは旧市街の日常に溢れる‘原因’を拾い集めて簡単な解説を付けたトピックを延々アップしています。 
金澤という街の底知れない魅力を沢山皆さんにお届けしたいし、私もまだまだ発見していきたい。

雪眠りの動物達 紺屋坂脇石段坂

 大晦日の夕暮れからにわかに降り始めた雪がドンドン旧市街中を塗り替えてゆく。
 兼六園下バス停と兼六園桂坂口方面を繋ぐ階段坂(平らに薄く載った雪の様子から、つい数時間前まで雪が全くなかったコトがなんとなくお分かりになると思う)脇の斜面がプーリー犬(モップ状の毛足を持つ犬)が密集して寒さをしのいでいる風に見えてつい立ち止まる。
 雪はしばしば、見慣れた風景の細部を思わぬカタチに変身させる。刻々と変化する‘そういうモノ’を見つけに眺めに逍遥するのも金澤らしい雪の楽しみ方。2015年1月1日午前1時4分撮影
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雪の中の三博士 金沢城 いもり堀 広坂緑地

  元旦の夕暮れ、あたり一面を真っ白に塗り替えた雪の中を旅行者風の三人が等間隔で姿勢良く歩いてゆく。(地図で兼六園から尾山神社へ向かうルートを調べてここを歩いている・・と想像)視界に入ってからず〜っと観るとはなしに眺めていて・・なんとなく「東方の三博士」の画を思い出していた。
 生態系にも配慮した控えめな(金沢城「本丸園地の森」には殆ど光が届いていない)ライトアップが始まって間もない時間。
 しいのき迎賓館から金沢城までは完全に景観がコントロールされ、全面ガラス張りの金沢城公園側からは館の何処からでもその全貌がユッタリ見渡せる様になっている。
 画面奥から金沢城、いもり堀(明治40年に旧陸軍が埋め立て戦後は長年テニスコートだったが移転、数年に渡る発掘調査後、鯉喉櫓台と共に復元)そして新たに整備された広坂緑地。今日積もった雪、目の前を通る人。金澤らしい、数百年に渡る時代が層を成してこの一瞬に成立した光景。2015年1月1日16時51分撮影
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2015/01/04

観音院表参道 経田屋米穀店 

 東山一丁目(旧観音町)観音院に向かって真っ直ぐ伸びる参道(しばらく進むと観音坂の少し手前から斜め右に折れる、江戸時代とまったく変わらない道筋)大晦日の夜から元旦一日中降り続いて、2日も断続的に降って街中真っ白に染めた雪だけど、降っている最中もドンドン溶けて夜通し溶けて・・3日の夜にはご覧の様にかなり溶けてしまった。
 右に写っているのは金沢市指定保存建造物、登録有形文化財(文化庁)でもある「経田屋」さん(1904年築)数百年変わらない道筋と百年以上変わらない建物と・・遥か昔から変わらない月が見せるさり気なく美しい、金澤の夜の小景。2015年1月3日18時15分撮影
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元旦朧月 石浦神社

 ほぼ一日中雪模様だった2015年元旦だけど実は・・時に吹雪いて、時に音もなくフワフワと舞い降る雪の合間に実は・・「あっ!」っと思わず声を上げたくなるような、軽い驚きにも近い‘月が雲間から覗く瞬間’が何度もあった。
 金澤では天候が崩れるコトと何度も晴れ間が覗くコトがほぼイコール。そしてその晴れ間がしばしば神懸かり的な美しい光景を見せる。
 ここは金澤の中心に位置する石浦神社(兼六園、しいのき迎賓館、21世紀美術館と四つ角を形成している金澤最古のお宮。創建は諸説あるが700年代、現在の地には明治13年から)断続的に雪が降る中を初詣に訪れて・・フト雪が止んでいるコトに気付いて空を見上げると松の枝の間に朧月。期待を裏切らず上回る見事な月の光景。2015年1月1日19時06分撮影
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2015/01/03

雪林烏図 金沢城「本丸園地の森」

 金澤では雪は一気に積り、いつの間にか溶けて全てなくなり、また積りを繰り返す。大晦日まで一切雪がなかった金沢城「本丸園地の森」があっという間に雪に覆われた図。昨日まで裸だった木々の枝という枝を芯にして結晶が膨らんでいく様なカタチでびっしり雪が張り付いている。一息で降った雪ならではの特徴的で美しい雪の造形、光景。
 いつもはあまり目立たない先端に停まっているカラス達がミョーに浮かび上がって心なしか落ち着かなく見えるのも面白い。時々松の枝葉にこんもり溜まった雪がダダダダっと音を立てながら落ちて、あちこちで小さい雪煙があがる、突然一瞬の強風とともに辺り一面雪が舞う、静寂の世界の様で実際はなかなか刺激的なライブな光景。2015年1月1日16時30分撮影。
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雪明り雪灯り。広坂緑地

大晦日まで何処にも雪がなかったのに元旦に向けての一気に積もって、明けた2015年は一面の雪。
 ここは市の中心に位置する、しいのき迎賓館裏手から金沢城まで続く広々とした芝生。20年近い議論の末ここを「何もない贅沢な空間」に整備するコトに決まった結果出現した。県庁舎もかなり削り、後ろにあった建物も撤去し、駐車場は地下に新設して・・金沢城の城壁をすっかり見渡せる広大な空間になった。普段は地面を仄かに照らすコトに徹している照明は、真っ白に染まった平原のあちこちで間接照明になり空間を淡く照らす。極力石垣だけを浮かび上がらせるよう配慮したライトアップ(動植物への配慮から)、弱い光の点にしか見えない歩道を照らす照明と相俟って贅沢な雪見の空間が出現した。景観照明に細やかな神経を配る金澤ならではの、優しく暖かい雪の味わい。2015年1月1日17時7分撮影。
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