2018/05/15

銀のさざ波 兼六園

 兼六園に巡る豊かな水は400年近く!前に完成した辰巳用水から流れてくる。旧市街の真ん中の台地を10キロ以上に渡って僅かな高低差(10mあたり4cm)で運ばれてきた水はまず小立野口脇の沈砂池で土砂を落とし、澄んだ水となって園内の曲水を巡る。
 桜が少し盛りを過ぎて気が早過ぎる杜若が僅かばかりに咲いて、ツツジはまだまだ準備中のこの日、つい先程まで鏡の様に滑らかだった水面にさざ波を立てながら鴨がゆく。
 極めて穏やかな曲水の流れをユルユルと遡上する二羽の周りに複雑な波紋が次々と、銀色に淡く輝きながら前後左右に生じて・・・しばらくの間ウットリする眺めを出現させた。
2017年4月14日17時8分撮影 この場所を中心に 金澤コンシェルジュ通信マップ を表示

2018/05/14

真夏の大朧月夜 21世紀美術館

 一年中どの季節の朧月もそれぞれに趣があっていいモノだけど、夏のそれは、辺りに充満する草木の香り、体にまとわり付く湿気も相俟ってこの季節ならではの妖艶さがある、様に思う。
 美術館を整備した時、この場所にわざわざ移植されてきた美しい枝ぶりの松の背景に広がるダイナミックな夜空は、冬の神々しさとはまた趣の異なる妖しい輝き。
 この夜は私が映像演出をした能楽美術館のナイトミュージアムイベント当日。泉鏡花をテーマになかなかに幻想的な空間を設えたつもりだったけど、終わって外に出てみれば真夏の夜の金沢は負けず劣らずの設えで空間を満たしていた。2017年8月5日20時55分撮影
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2018/05/13

繰り返される‘湖上の夢笛’ 兼六園霞ヶ池

 百万石まつりに合わせて市内では様々な催し物が併催(6月第一土曜日の本祭の前後三日間)される。毎年恒例となっている、兼六園霞ヶ池に浮かべた小舟に乗った藤舎眞衣さんによる篠笛の演奏は、内橋亭から船出して霞ヶ池をゆるりゆるりと一周して戻るまで、その全てが終始夢の様な光景。ただでさえ現実と夢の境が曖昧になる晩春の夕暮れ時に、これ以上はないような設えなので無理もないかもしれない。
 現場に到着するのが若干遅れてしまったこの年、池の周辺は既に沢山の人で溢れていて・・ならばと栄螺山から池全体をゆったり眺める趣向に切り替えたコトが功を奏して、いつにもまして素敵な光景に出会えた。一人の素晴らしい、実力と華を兼ね備えた奏者、それを演出する僅かだけど確かな設え(控えめかつ効果的に仕込まれた照明、ワイヤレスでクリアに確実に音声を送る装置、熟練した船頭さん・・)が晩春の兼六園霞ヶ池、という最高の舞台を使って出現させた‘プライスレス’な夢の景色。2017年6月3日19時29分撮影
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天徳院 中秋の朧月

 天徳院は3代藩主利常の正室で徳川秀忠(徳川家康の三男)の娘・珠姫(3歳!で結婚し三男五女を儲け24歳で病没)の菩提寺として1623年に開山。(この山門は1693年建立)
 中秋の名月をあちらこちらから望もうと旧市街を巡っている途中(兼六園から1,5キロくらい。クルマだとあっという間)なんともいい角度に、雲に見え隠れしながら浮かんでいるトコロに出くわした。雨が多い→雲が多い→朧月夜が多い金沢。 侘び茶の祖として有名な村田珠光が「月も雲間のなきは嫌にて候」(月は満月で煌々と輝いているよりも、雲がかかって見え隠れしている方が好きだ。) と言ったのは言外に深い意味があるにせよ、朧月はそれだけで美しく心が揺れるもの。こんな見事なロケーションならばことさら。2017年10月4日19時37分撮影 この場所を中心に 金澤コンシェルジュ通信マップ を表示

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